犬との約束@現場記録

先日、織山尚大君主演の『犬との約束』を観に行ってきました!

今回は全然チケットが当たらなくて、公演1週間前になっても手元にチケットはありませんでした。

4回落選しても諦めきれなくて最後の望みで応募した注釈付きチケットが当選し無事にいくことができました。一緒に行こうと言ってくれた友人の方も当たり、2公演の観劇が急遽3日前に決まりました。

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チケットを発券したら2列目と5列目。一番後ろの簡易席で見る気満々でいたから拍子抜けした。

これで注釈付き!?と疑ってしまうほど視界は良好だし本当に本当に近い。何をもって見えにくいとするかは公演や会場によって違うけれど、ストレスなく2公演観られたので注釈付きと書かれていても躊躇わずに応募してみるものだなって思いました。

 

残り物には福がある。最終的にチケットが当たったからこんなことを言えてるんだけど、本当にそう感じた。今回は本当に最後の望みだったのでただただ必死だったわけですが。ちなみに2公演とも隣の席の人はFCチケットを持っていたので該当の子達だろうなと思う。私も一応該当なのであれですがFCチケットのすぐ隣が注釈付きチケットってこんなこともあるんだねえ。

 


私は基本的に当たったチケットで賄うタイプの人間なので当たればどこにでも入る。ただ、妥協して後ろの席には入りたくないという思いも少なからずある。どうせ見るなら前の席で見たい。距離には勝てない。何故この場所が残っていたのかはわからないけれど席に恵まれました。有難いお席でした。

 


今回はなんとかなったから良かったものの、最後の最後までチケットが手元にないのって本当に不安だからできれば早いうちにゲットしておきたいなとも思いました。


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2年ほど織山君を応援しているけれど、いつも遠くの席で双眼鏡越しに見ることが多かったのでこんなに近くで見たのは初めてでした。織山君が出てきた時、あまりの美しさと会えた嬉しさで泣きそうになりました。1年ぶりの織山君は去年よりも少し大人びていました(10代の成長ってすごい!)。

 

私は織山君の演技が好き。与えられた役を演じるんじゃなくて舞台上で織山君は織山尚大ではなく、その役の一人の人間として生きていた。貴方の表現するダニエル、しっかり受け取ったよ。

 

物語は軽快な音楽から始まる。朝→昼→夕方→夜...それぞれの時間帯に合わせた音楽と木の隙間から光が差し込んだ演出が綺麗だった。これから始まる感じの音楽がいいなあって思いながら本編が始まるのを待った。

 

織山君演じるダニエルが大切にしている家族のラム(大型犬、ゴールデンレトリバー)と戯れるシーンでは、実際の犬を登場させずに観客をラムに見立てて演技する。ラムに向かって話しかけるシーンは客席に目線を合わせるので前列は確実に目が合う。会場の舞台の高さがそんなに高くなくて、織山君の態勢も低くなるのですごく近くてずっと目が合っているような感覚になる。特にセンブロ上手側では織山君から「だいすきだよ」という言葉が目を合わせながら放たれるという贅沢な時間が待っている。とにかく織山担殺しである。

 

ダニエルはラムと戯れて喜ぶ様子をフリーダンスで表現する。凄く楽しそうに舞い踊る織山君。ジャンプがとても高くて軽やかでどこまでも飛んでいきそうだった。床に寝そべり頬杖をついてラムを見つめる眼差しはとても優しげだった。4/17は優しい顔をしてフルフルと顔を振りながらラムと触れ合っている様子が可愛かった。

ダニエルにとってラムは心を許した唯一の友達。ラムを大切に想う気持ちが織山君の表情やダンスからも伝わってきて見ているだけであったかい気持ちになった。

 

比較的ストーリーはわかりやすかったと思う。3場面の展開の切り替えが早く、頭の整理も必要だったけれど、対比を用いてうまく表していたように思う。貧富の差、格差社会実力主義の世界。人間の汚い部分も垣間見えながら物語は進んでいった。大人の汚い部分と純粋無垢な青年の対比が良いなと思った。それと、このミュージカルの主題ともいえる歌は前半と後半で2つの意味に変化した。幸せな歌として歌っていたはずの歌は後半、悲しみに暮れた歌に変わった。1つの歌から2つの意味を見出せるってすごいなって思いました。

 


 

ダニエルは大人たちにお酒を渡す時、ぺこりと頭を下げて渡していた。礼儀正しい青年はお酒に飲まれ愚痴を吐き出す大人をみながらラムに優しい目を向ける。目線をこちらに合わせ、慈しむような目でラムをみる。愛犬を愛おしそうに見ている演技は、私たち観客がラムなのでとにかく距離が近い。口元に人差し指を持ってきてシーッとする仕草は2人で秘密を共有するようなドキドキ感があった。

「ラムみたいにみんなが穏やかだったら、優しかったらいいのに。」

 

ダニエルはお酒があまり好きではない。お酒が苦手な理由は、母の悲しい顔をみたくないから。母役の三倉佳奈の表情が良い。とても惹き込まれる。ダニエルを想い、旦那を想うなんとも言えない表情から目が離せなかった。毅然としているけれど脆くて繊細で…。そんな母をダニエルはきちんと理解し受け取っているように見えた。お父さんへの思いを一番大事にしてほしい、息子の願い。母を思う心優しい青年。あなたはそのままのあなたで。

4/17は母子で歌う時、織山君の目が涙目になっていました。私の涙腺も緩んだ。

 

劇中に出てくる「子供が生まれたら犬を飼いなさい」は、作者は不明だがイギリスに古くから伝わることわざらしい。

 

子供が生まれたら犬を飼いなさい

子供が赤ん坊の時、子供の良き守り手となるでしよう。

子供が幼少期の時、子供の良き遊び相手となるでしょう。

子供が少年期の時、子供の良き理解者となるでしょう。

そして子供が青年になった時、自らの死をもって子供に命の尊さを教えるでしょう。

 

 

犬の時間の進み方は人間よりも早い。この瞬間の貴重さを忘れてはいけない。この時間が当たり前でない事を忘れてはいけない。そうはわかっていてもラムの早すぎる死は胸が張り裂けそうになるくらいしんどかった。ラムが銃で撃たれ、声を上げて泣いているダニエルを見るのが辛かった。体育座りで椅子に座り、とめどなく溢れ出る涙を片腕で拭き、悔しさを滲ませる。 

ラムの突然の死を受け入れられずダニエルの情緒が安定しない。生気を失った表情で放心状態になる様子も見ていていたたまれなくなった。命の重みを感じさせる織山くんの自然な演技は私たちも一度は体験したことがあるであろう、深い悲しみそのものだった。大切な人の死を受けいれられず、放心状態になる姿や嗚咽がとまらないほど泣きじゃくる姿も私は経験したことがある。

涙ぐむ声で歌うラムへの歌。「ずっと……」消え入るような声で吐き出した歌はラムを失ったダニエルの悲しみが痛いほど伝わってきた。

 

織山くんは肩で息をするくらい異常なくらい泣いていて、演技とはいえここまで役に入り込めるのは本当にすごいと思った。両手で顔を覆い泣き崩れ、その場に倒れそうになる。嗚咽が止まらず、次から次へとこみあげてくる泣き声や呼吸の音がマイクを通して聞こえてくる。いや、マイクを通さずとも私の耳に届いた。

もしかして毎公演こうなっているのか?憑依するほど役に入り込んでしまう織山君が少し心配になった。4/17の時は途中でお腹のあたりをおさえていました。

 

ラムの墓に語り掛けるとき、消えそうな声でダニエルは言った。

「犬だからって…悔しくて悲しくて仕方ない」

犬も人間も命の重みは変わらない。差別しないで。ダニエルの心の叫び。私たちへのメッセージ。

 

ラムの死をなかったことにしないために裁判を起こすことになった。

「何かが変わると信じて」の歌詞の部分で織山君は覚悟を決めた顔つきになっていて、ちょっとした表情の変化を表現するのが上手いと思った。

 

前半の裁判では俯いて座っていた。落ち着かない様子でじっとまち、裁判に納得のいかない様子。何か言いたそうにしている姿が印象的だった。敗訴したことがわかると諦めたような表情をしていた。

再審では迷いのない真っ直ぐな目で前だけを見据えてた。同じような場面なのに、ダニエルの心の変化が見てわかった。迷いのない目で一点を見つめ、裁判の時を待っていた。

 

見ている私たちもこの裁判を見守る傍聴者のように見立てた演出は舞台の世界に入り込んだような不思議な感覚になった。私たちに命の尊さを訴え続ける。今の社会へのメッセージ。犬だろうが人間だろうがどんな命であっても命の重みに差はない。大切な命には変わりない。だからこそ、「差別しないで…」と小さくいったダニエルの言葉が刺さる。

 

決して裏切らない唯一の友

どんな時も味方でいてくれる

 

勝訴したダニエルはマクレガーにまっすぐな眼差しを向け「1つだけお願いがある」と言った。

織山君の声色が変わり、はっきりとした力強い声だった。この瞬間、会場が静まり返ったような気がした。なんだか空気が変わったようなそんな印象を受けた。

 

「ラムのために笑顔で祈ってほしい」

 

ダニエルからのお願い。

ダニエルにとってラムは大切な家族。永遠の友。祈るように両手を合わせその手にキスを落とす。

頬には一筋の涙の跡。本当に美しい涙の跡だった。ラムは永遠にダニエルの心の中にいる。これからもこの先もラムの死を忘れず祈り続けることがラムへの償い。勝訴し、「よかったね、ラム」とでもいうように空を見上げるダニエル。優しいまなざしでした。

 

みんなに伝えるから

君が僕にくれたもの 尊く大きかったと 

君にいつかありがとうをいえるように

 

僕の親友 ずっとずっと いつまでも

僕の親友 ずっとずっと 離れないでね

 

最後はキャストみんなで順番に歌う。胸に手をあててキャストと目を合わせながら織山君は歌っていた。温かい目でキャストが織山君を見守っている。なんだかこちらもほっこりした。織山君がこのカンパニーで舞台の主演をつとめられてよかったと思った。この経験を経て更に演技に磨きがかかっていくんだと思った。10代のうちにこのような経験ができることってやっぱりとても凄いことだからこれからもたくさんの経験をして大きくなっていってほしいと思った。私はいつまでも貴方の演技を見ていたい。これからもずっと見届けていきたい。

 

 

カテコは3回。

舞台中央に立ち、口パクで「ありがとうございました」という織山君。

4/16は2回目にはける時に小さく両手で手を振っていた。可愛い。3回目のカテコは一人で中央に出てくる。ここでも口パクで「ありがとうございました」そして最下手にて両手投げちゅー........... 近かったので肉眼で見てしまい無事に天に召された。

4/17は3回のカテコ。3回目も全員出てきてこの日は両手で控えめにバイバイ。

 

キャストを従え三方礼をする姿にこの子は本当に主演を演じたんだと嬉しくなる。2年前は出演という形だったけれど、昨年今年と座長を努め悩むことも多かったろうに無事にここまできたんだと感慨深くなった。初めてのミュージカル、よく頑張ったね。本当に素敵な時間をありがとう。

 

織山くんの演技には魂が宿っていると思った。一回の公演であんなにもボロボロになるまで役と向き合えるって本当にすごいことだと思うの。こんなにも役に入り込めるくらい憑依してしまう人だから少し心配にもなるけれど、嘘のない演技が人の心に刺さるんだと思う。

忘れたくない。織山くんが本気で向き合った作品をいつまでも覚えていたい。

 

私は初めて見た時から織山くんの演技の虜です。これから先、織山くんはどの作品でもそれぞれの役になり、舞台上で人生を歩んでいく。次はどんな貴方に出会えるのだろうか。楽しみで仕方ない。本当に素敵な舞台をありがとう。

 

すぐに現場記録を投稿する予定だったのになにかとまとめるのに時間がかかってしまいました。本当はそれぞれの登場人物だとか書きたい部分がまだまだあったんだけど、今回は織山君中心に書くことにしました。書かないっていう選択肢もきっと大事。

忘れたくないことだけは書けた気がするのでこれにて私の4月の現場終了!!

 

忍者ではじまり忍者で締めくくった充実の4月でした!!ありがとう!!

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p.s.

北川君が織山君の舞台を見学して、その感想をブログに書いてたんだけど、おりきた尊い....ってなりました!いつまでもお互い刺激しあって高め合える存在でいてほしいな!