回収物

我が家に自担のサインボールがやってきた。

遡ること一週間前。なかなか眠れなかった私は何気なくフリマサイトを開いた。

暇つぶしのようにスクロールを続ける。

とある画面で手が止まった。

昨年夏に行われたわっしょいCAMPのサインボール。書かれていたのは自担の名前。当時はSNSでジュニアのサインボールが流れてきたが、彼のサインボールの情報は一度も流れてこなかった。SNSをしない層の手に渡ったようだった。それがこんなフリマサイトを通して出会うことになるとは。驚きを隠せなかった。

 

他のジュニアのサインボールは度を超えた価格帯。しかし悲しいことに自担のサインボールは破格の価格で出品されていた。

 

誰も引き取り手がおらず譲り手を探しているのであれば私が引き取るしかない。そんな使命感に駆られた。

誰かの手に渡るくらいなら私の手元に置いておきたかった。

 

友人に相談すると偽物の可能性もあると指摘された。なるほど、そういう可能性もあるのか。

 

考えた末、彼を名指しして偽物のサインを出すメリットがなく、この価格帯であれば偽物だったとしても痛手ではなかったので購入を決めた。

わっしょいの自担のサインボールは出回りが多くあるわけではない。現に私もこれ以外は見ていないし、他のジュニアのサインボールもそんなに数は無さそうだったのでこの世に存在する彼のサインボールは1つか2つ程度。ここで買わなければあの時買っておけばよかったとずっと後悔する気がした。

 

購入後、ひとまずUVカットのケースを購入する。これで準備は万端だ。

 

数日後、そわそわしながらも無事にサインボールを受け取ると指紋がつかないように手袋をはめてケースに入れた。筆跡鑑定は必要なので資料を探すことにしよう。とりあえず数日時間が欲しい。

 

 

自担のサインボールが家にある。その事実だけで私の幸福度は上がった。ご飯を食べることさえ忘れて暇さえあればサインボールを眺めていた。

 

 

サインボールには自分の名前のローマ字と謎の言葉。書いてある言葉の意味はわからないけどいつかその話をする日が来たら答え合わせをしてみたい。

 

これは何かの巡り合わせだと信じてずっと大切にしようと思う。